ビーツの歴史
ビーツの産地は定かではありませんが、一説には地中海沿岸が原産といわれています。
世界三大スープのひとつでロシアの代表料理である「ボルシチ」には欠かせない野菜で、海外では非常にポピュラーな食べ物です。
江戸時代にはすでに日本に伝わっていましたが、当時はそれほど広まることはありませんでした。
現在でも国内での栽培はそれほど盛んではありませんが、北海道や長野県で多く生産されています。
ビーツの旬と栄養
ビーツの旬は年に2回、6月~7月と11月~12月にかけてです。
海外からも輸入されているので一年中手に入りますが、生産量そのものが少ないため国内産・国外産に関わらず店頭で見かけることは稀です。
「飲む血液」と呼ばれるほど、ビタミン(葉酸)や鉄分、カリウム、マグネシウム等を豊富に含み免疫力を高める効果があります。
さらに食物繊維も豊富なため、便秘の解消にも効果があります。
ビーツの赤色の元である「ベタシアニン」はポリフェノールの一種で抗酸化作用にも優れています。
ただし、造血作用のある「葉酸」は火を通すと失われやすいため、葉酸を多く摂取したい場合は生に近い状態で食べる必要があります。
また、ビーツはほうれん草と同じくシュウ酸を多く含み、尿路結石の原因になるため食べ過ぎには注意しましょう。
ビーツの豆知識
カブではなくほうれん草の仲間
その見た目から赤カブの仲間のように見えるビーツですが、カブ(アブラナ科)とは全く関係ありません。
ビーツはアブラナ科ではなくアカザ科の野菜で、どちらかといえばほうれん草の仲間です。
砂糖の原料として北海道で多く栽培されているテンサイ(サトウダイコン)の変種で、ショ糖が多く含まれているため独特な甘みがあります。
根だけではなく葉も茎も食べられる
日本で一般的に「ビーツ」と呼ばれるのは根がカブのように太くなる「テーブルビート」という品種ですが、根が太くならず葉や茎を食用にする「スピナッチビート」という品種も存在します。
品種改良が進み、今ではビーツといえばテーブルビートを指すようになりましたが、ビーツの原種はスピナッチビートのように葉と茎を食用にする野菜でした。
日本では馴染みのないスピナッチビートですが、海外では「ほうれん草」のようなありふれた葉物野菜として店頭に並んでいます。
そしてスピナッチビートと同様に、テーブルビートも葉や茎を食用とすることができます。
根が太る前の若葉であれば生で食べることも可能ですが、根が十分に太ってから収穫されたテーブルビートは、葉も茎も硬くなっているため生食には向きません。
炒め物やおひたしなど火を通して食べると良いでしょう。
日本でビーツを使う料理と言えば「ボルシチ」くらいしか知られていないため、根以外を捨ててしまう人がいますが、栄養豊富な葉を捨ててしまうのは勿体ないので余すところなくビーツを頂きましょう。
食べる血液・飲む輸血
ビーツはその豊富な栄養から「食べる血液」や「飲む輸血」とも呼ばれています。
「火焔菜」という名前で呼ばれるほどの特徴的な赤色も、血液に例えられる一つの要因と考えられます。
実際に貧血予防に効果的な鉄分や、造血作用のある葉酸が豊富に含まれているため、血液に関わる体の不調を改善する効果が期待できます。
ビーツの赤はレモンで落とす
ビーツの赤い色は天然の着色料として利用されるほどで、衣服や肌に付くとなかなか落ちません。
海外では昔から、「ビーツの赤い色はレモン汁で落とす」と言われています。
おばあちゃんの知恵袋のようなお話ですが、実際に効果はあるようです。
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