家庭菜園で、買った種が余ってしまったという経験はよくあると思います。
市販の種は1袋に結構たくさんの量が入っているので、よほど広い畑でない限りどうしても種が余りがちです。
「捨てるのももったいないし、来年も使えるかな?」と考えた方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、今回は市販の種の有効期限について説明したいと思います。
種には寿命がある
まず基本的なことですが、種にも寿命があり種類によって長く保存できるものとそうでないものがあります。
トマトやナス、スイカなどのように4~5年以上の長期間保存できる種を長命種子
ネギやタマネギ、ニンジンなどのように1~2年しか保存ができない種を短命種子
そのどちらにも含まれない中間のものを、常命種子といいます。
もちろん種の寿命に関わらず新しい種を使用するのが理想ですが、長命種子の代表であるスイカなどは、保存状態が良ければ7年前の種からでも正常に発芽します。
適切な保管さえしておけば、長命種子や常命種子なら2~3年であれば一般家庭でも問題なく保存できるのです。
市販の種は新しいものばかりではない
「トマトの種が余ったけど、トマトは長命種子だからあと4年は大丈夫かな」
適切に保存することが前提ですが、この考えは間違いではありません。
ただし、これはあくまで自家採取した種の場合の話で、市販の種についてはその限りではありません。
実は、市販の種はすべてが前年に採種された新しい種というわけではないのです。
現在、大手種メーカーが扱っている種は、その多くが海外から輸入されたものです。
種袋の裏面には種の生産地が記載されていますが、その多くがアメリカや中国などの外国産であることがわかります。

種の生産には、他の作物と交雑する恐れのない(花粉が飛んでこない)広大な土地が必要なのですが、日本は土地面積が狭いため、このような種の生産に適した土地は少ないのです。
そのため、国内から増やしたい種を輸出し、海外で栽培・採種してから種を輸入するという形をとっているのです。
しかし、種は生き物なので、その出来は毎年の気候などによって左右されます。
毎年、必要な量の種が必ず輸入できるとは限らないのです。
そのため、通常は数年分の種をまとめて輸入するのが一般的です。
こうして輸入された種は、気温や湿度が適切に管理された倉庫で大切に保管され、必要な時期に販売されるのです。
なので寿命の長い長命種子であれば、店頭に並んだ時点で2~3年前から保存されている種であることも珍しくはありません。
もともと寿命が短い短命種子では、そういったケースは少ないですが。
誤解のないようにお願いしたいのですが、決して新しい種ではないから悪いということではありません。
気温や湿度が適切に管理された倉庫であれば、3~4年前の種でも問題なく発芽しますし、販売する前には必ず発芽試験を行っているので、よほど悪質な業者でない限り発芽率が低下していることはありません。
袋に記載されている有効期限内であれば、十分な品質が保たれていると考えてもらって問題ありません。
知ってほしいのは、販売されている種が採種されて1年目ではないということなのです。
市販の種はどれだけもつか
結論から先に言うと、「市販の種はどれだけもつのか」という質問に対しては
有効期限が過ぎたら運次第です
という答えになります。
市販されている種の袋の裏には、「発芽率」と「有効期限」が記載されています。
これは『有効期限内であれば、記載されている発芽率がほぼ維持されている』という目安です。

逆に言えば「有効期限が過ぎたら品質は保証できない」ということです。
この有効期限はある程度余裕を持たせているので、きっかり期限内しかもたないということは無いですが、採種年が記載されていない以上、その種が何年前に採種されたものかを一般の購入者が調べる方法はありません。
そのため、本来なら採種してから5年以上保存できる種でも、市販の種では2~3年しか保存できない、ということは十分あり得るということです。
長くなってしまいましたが、結局のところ「種はできるだけ期限内に使い切りましょう」ということです。
短命種子はもちろんですが、常命種子や長命種子であっても期限プラス1年くらいで使い切るのが理想です。
せっかく種をまいたのに芽が出ない。
芽が出たのに正常に育たない。
そういった残念なことが起こらないように、種の使用期限には注意しましょう。
つまりは有効期間外だと食えるけど生えるかは運次第ってことでおけ?
つまりは有効期間外だと食えるけど生えるかは運次第ってこと?
コメントありがとうございます、その考えで間違いありません。
種の中にある発芽に必要な成分が年々劣化していくので、古い種はそもそも芽が出なかったり明らかに奇形な芽が出たりします。
ただ正常な芽が出て収穫できた野菜は普通に食べることができますよ。