家庭菜園の嫌われ者スギナ。
抜いても抜いても次から次へと生えてきて、防草シートを張っても突き破ってくるほど頑固な植物です。
今日は、こんな厄介者であるスギナの話をしたいと思います。
ちなみにスギナの駆除方法を書いた記事ではありませんので、それを目的に来た方はごめんなさい。
スギナとは
スギナは日本全国に分布するシダ科の植物で、地下茎と胞子で増えます。
春先に出てくる胞子茎はつくし(土筆)と呼ばれて親しまれていますが、植物学上はどちらもスギナと呼ばれています。
その駆除のしにくさから、笹やドクダミと並んで難防除雑草に指定されています。

どのような土地にも生えてきますが、特に酸性土壌を好んで生えてきます。
ですが、あくまで「酸性土壌を好む」程度のものなので、石灰で中和しても駆除することはできません。
地下茎で旺盛に増えるため、地上部を刈っても何度でも生えてきます。
駆除するのは非常に困難ですが、除草剤を使用したり、地上部すべてを数年にわたって抜き続ければ駆除することもできます。
ただし、前述したとおりスギナは胞子でも増えることができるため、スギナがもともと生えていた条件の場所ならば、数年以内に戻ってくる可能性が非常に高いです。
スギナの不思議
スギナは毎年同じ場所に生えてくるイメージがありますが、本来スギナは同じ場所にいつまでも生え続ける植物ではありませんでした。
スギナはカルシウム分が少ない(pHが低い)酸性土壌の土地に好んで生えてきますが、スギナ自体はなぜか多くのカルシウム分を含んでいてアルカリ性を示します。
なぜ、酸性土壌に生えてくるスギナが多くのカルシウム分を含んでいるのかは、未だに証明されていません。
※理由には諸説あるようですが、科学的に納得できるような回答がされているものは一つも見つかりませんでした。
スギナの役割
本来スギナは人間の営みで酸性に傾いた土地にやってきて、自身の性質を利用して数年かけて酸性土壌を中和していました。
そして酸性に傾いた土壌を中和すると、地下茎や胞子で移動して姿を消すということを繰り返していたのです。
ですがいつからか姿を消すこともなくなり、その数ばかりが増えるようになりました。
その原因は人間の営みにあります。
スギナは酸性土壌を好みますが、そもそも土壌が酸性化するのはなぜでしょうか。
原因はいくつかありますが代表的なものは
- 雨水により土壌の石灰分が流されること
- 雨自体が弱酸性であること
- 化学肥料の使用によるもの
などがあります。
もともと日本は雨の多い国なので全国的に酸性に傾きやすいのですが、近代化により石炭などの化石燃料が使われるようになったことで、酸性度が異常に高い雨が降るようになりました。
そして、農業に化学肥料が多く使われるようになったことも相まって、土壌がそれまで以上に強く酸性に傾くようになってしまいました。
つまり、酸性雨と化学肥料によって土壌が酸性に傾きすぎたため、スギナの力だけでは酸性土壌を中和することができなくなってしまい、いつまでも同じ土地に留まるようになってしまったのです。
スギナは旅人
家庭菜園の厄介者であるスギナですが、本来は全国を旅して酸性に傾いた土地を中和して回る働き者だったのです。
そう考えると、スギナに対する見方が少し変わってくるのではないでしょうか?
人間の営みによって旅ができなくなったスギナですが、自然環境が改善していつかまた旅人に戻ることができると良いですね。
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