水素担持肥料の効果と使い方

水素

最近になって、一部で販売が始まった水素肥料。
まだ一般に浸透していないため、正しい使い方や効果が分からない方も多いのではないでしょうか?
水素肥料(水素担持肥料)とは?

今回はこの水素肥料の使用方法と、期待されている効果を説明します。
水素肥料を正しく使って、農業に役立てましょう。

水素肥料の使い方

現在、水素肥料として販売されているのは「水素担持カルシウム肥料」というものです。

水素担持カルシウム肥料について簡単に説明すると、サンゴや貝殻などの炭酸カルシウムを含む物質に特殊な処理を施すことで、カルシウム内に水素を高濃度で吸蔵(担持)させたものです。
現在の技術では、水素そのものを固体化して肥料にする技術はないため、このような方法がとられています。

水素担持カルシウム肥料の使い方

水素担持カルシウム肥料はミクロ単位の細かい粉末で販売されています。
水分と反応して水素を発生させる仕組みなので、「水に混合して農作物に散布する」か「粉末を農作物の周りに散布してから水をまく」かの2通りの使用方法があります。

基本は根から吸収させるために地面に撒きますが、根が弱っているときや早急に効果を出したいときには葉面散布という方法もとられています。

ちなみに水と反応して水素を発生すると言っても、内部に吸蔵されていた水素が出てくるだけで、化学的な反応が起こっているわけではないので、反応熱やガスの発生で農作物を痛める心配はありません。

どのようなタイミングで使う?

基本的にどのようなタイミングで使用しても問題ありませんが、追肥や水遣りのタイミングで使えば、手間もかからず効率が良いと思われます。
まだ実験段階のため、確実ではありませんが、「作物の成長を早める」とか「ストレスへの耐性があがる」といった報告もあるため、幼苗の時期や天候不順のときに使用すると効果が高いかもしれません。

ちなみに後述の「使用上の注意」で詳しく説明しますが、肥料の性質からあまり短い間隔で使用することはできませんし、そもそも使用に適さない農作物もあります。

使用上の注意

水素肥料は農作物に害のないクリーンな肥料ですが、使用方法を間違えると効果が出なかったり、悪影響を与える可能性もあります。

酸性を好む野菜には適さない

水素そのものに害はありませんが、現在の水素肥料は水素を炭酸カルシウムに担持させているため、どうしてもアルカリ性の肥料になってしまいます。
基本的に日本の土壌は酸性に傾きやすいので、石灰などで酸度調整をする代わりに水素肥料を使用すれば問題ないのですが、ブルーベリーなどのそもそも酸性を好む作物には使用できません。

また、あまり頻繁に散布を繰り返すと土壌が強いアルカリ性になってしまい、かえって農作物の成長を阻害する可能性もあります。

水素担持肥料は保存が難しい

水素担持肥料は、「水分と反応して水素を放出する」という性質上、非常に水分に弱いです。
空気中の水分にも反応するため、袋の開け口を紐で縛ったり折り畳んだりした程度の保管方法では、次に使用したときには水素がすべて抜けてしまっている・・・ということも十分あり得ます。

水素が抜けてしまっても、炭酸カルシウム肥料としての効果はあるため完全に無駄にはなりませんが、水素肥料としての効果は期待できなくなります。

そのため、水素肥料は一度に使いきれる量だけを購入するか、余ったものは水分が入らないように密閉された容器に保管する必要があります。

活性酸素が植物を枯らす?

枯れた花

最近の研究で、植物が枯れる原因に光合成によって発生する有害な活性酸素(ROS)が強く関わっていることが解明されました。

通常であれば、植物も有害な活性酸素を除去する機能を備えていますが、水不足や土壌環境の悪化などのストレスなどで植物が弱っていると活性酸素の生産に除去機能が追い付かず、その結果植物が枯れてしまうのです。

この有害な活性酸素への対策として、水素の活性酸素除去機能が期待されています。
植物にストレスがかかるタイミングで水素肥料を使用することで、農作物への被害を減らしたり、切り花や収穫物などの延命ができるのではないかと考えられています。

水素肥料はコストが高い?

現段階では、他の肥料と比べて水素肥料は高価なため、通常の農作物に使用するには少々コストが高くなります。
しかし、水素肥料の効果が一般に浸透して生産が増えれば、その問題もある程度は解決するでしょう。

それに、たとえ値段が高くても利用価値がある農作物は存在します。

例えば、樹齢が高く歴史的な価値がある樹木などは、水素肥料によって延命が期待できるのであれば、多少のコストがかかっても使用する価値は十分にあります。

他にも一部の品種の蘭のように、希少性と栽培難易度が非常に高い農作物であれば、不良品の比率が数パーセント減るだけで十分な利益が期待できます。
花のような美しさを求める製品は、葉や花びらの一枚が枯れただけで価値が激減するため、水素肥料の効果が大きくなると考えられます。

このように、歴史的価値や商品単価が高い植物に対しての効果は非常に期待がかかっています。

これからの研究に期待

低温や乾燥、病害虫など要因はさまざまですが、異常気象が毎年のように起こっている現代の環境では、工場野菜でもない限りは何のストレスもなく農作物を育てることは困難です。
特に日本においては梅雨の過湿や日照不足は避けることができないので、他国に比べてむしろストレスを受けやすい環境だとも言えます。

温暖化をはじめとする地球環境の変化により、植物にとっての環境は年々悪化しています。
将来的に、水素による活性酸素への対策が農家にとって常識となる未来もあり得るかもしれません。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

86年生まれの酒が飲めない九州男児。 家庭菜園が好きすぎて自分の畑を手に入れるためだけに農家になった。 5年前に新規就農し、現在は野菜のネット販売でお金を稼ぎながら家庭菜園を楽しむ「JAに野菜を売らない農家」。 現在家庭菜園16年目。