大根・人参の吸い込み性、抽根性とは

大根

大根や人参を栽培していると、『抽根性の大根』とか『吸い込み性が強い人参』という言葉を耳にする事があると思います。

今回は大根や蕪、人参などの根菜類によく使われるこの『抽根性』・『吸い込み性』という言葉の意味について、分かりやすく解説していきます。

抽根性とは

抽根性

抽根性(ちゅうこんせい)とは、生育に伴って「根が地上にせり上がってくる性質」のことを言います。
日本での栽培が盛んな青首大根はこの抽根性の品種で、地上に出ている部分が太陽の光に当たることで緑色になります。

最近は抽根性の高い品種が多く開発されており、中には根の半分以上が地上に露出しているものもあります。

誤解している方がいますが、抽根性とは「本来地下へ伸びる部分が地上へ伸びている」というわけではないので、地面が固ければ抽根性が高くなるというわけでもありません。

抽根性の品種は蕪や大根に多く、また人参にはほとんどありません。

吸い込み性とは

吸い込み性

吸い込み性(すいこみせい)とは、生育しても「根が地中に潜り込んだままの性質」のことを言います。
言い換えるなら「抽根(ちゅうこん)しない性質」とも言えるでしょうか。

練馬大根や三浦大根をはじめとする白首大根が、この吸い込み性の品種に当たります。
また、現在栽培されている人参の多くは、吸い込み性の高い品種となっています。

一口に『吸い込み性』といっても種類は様々で、地上にほとんど出ない品種もあれば、多少は出ている品種もあります。
地上に露出する部分の多さによって、吸い込み性が強い品種、弱い品種と呼ばれます。

抽根性と吸い込み性のメリット

抽根性の最大のメリットは、地上に出ている部分が多いので『収穫が容易』なところにあります。
これは大量の大根を生産している農家にとっては大変なメリットで、青首大根が生産者に好まれる一番の理由になっています。
吸い込み性の強い白首大根は収穫が大変で、無理に引き抜くと途中で折れてしまうこともあります。

もうひとつのメリットは、『畑の質に影響されにくい』ことです。
地上に出ている部分の多い抽根性の品種は、地面の固さなどにあまり影響を受けずに栽培が可能です。
本来あまり根菜の栽培に向かない土地ほど、抽根性が高い品種が選ばれる傾向にあります。

対して吸い込み性のメリットは、何と言っても『寒さに強い』ことです。
地上へ露出している部分の多い抽根性の大根などは、冬になると地上部が寒さによって傷んでしまいます。
そのため、寒い時期や寒い地域で栽培される品種には、吸い込み性の品種が選ばれる傾向にあります。

また、人参は地上に出ている部分に日光が当たると、変色して価値が下がってしまうため、吸い込み性が高い品種が好まれます。

吸い込み性大根の意外なメリット

現在日本で栽培されている大根は、そのほとんどが抽根性の高い青首大根です。
このことからも分かるように、基本的に吸い込み性大根のメリットは寒さに強いことくらいしかないように見えます。

私も以前はそう思っていましたが、田舎で大根を栽培するようになり、吸い込み性の意外なメリットに気付かされました。
それは猿や猪、鹿などの『野生動物の被害を受けにくい』ということです。

抽根性の大根は、地上に白い根の部分が露出しているので目立ちやすく、動物に目をつけられやすくなります。
さらに地上に可食部の大部分が露出しているので、動物から見れば「どうぞ食べて下さい」と言わんばかりです。

私も以前は抽根性の青首大根を栽培していたのですが、一晩のうちに猿に大根の地上部だけを片っ端から食べられたことがあります。
あまりの被害に何とかならないかと考えた結果、試しに吸い込み性の高い白首大根に品種を変えてみることにしたのです。

すると、まったく狙われないわけではないものの、驚くほど被害が減ったのです。

まず、青首大根と違い周りの土を掘らなければ食べられないので、片っ端から食い散らかされることがなくなりました。
そして猿には白首大根を引き抜くほどの力はないので、大根を引き抜いて持って行かれることもなくなったのです。

青首大根と比べて、白首大根は火を通さないと辛味と苦みがあるので好まれなかったこともあるのでしょう。
野生動物たちも、「私の食べにくい白首大根の畑より、他の食べやすい青首大根の畑に行こう」という考えに至ったのか、周囲の畑に比べて被害が格段に減ったのです。

あまり一般的ではない品種でも、どこに需要があるか分からないということを、身をもって体験させられた一件です。

自分の目的に合った品種を

味や形のような他の特徴と違い、抽根性であるか吸い込み性であるかというのは、あまり重要視されません。
品種の説明を見ても、そういったことは書かれていないことも多くあります。

ですが、自分が栽培する土地や時期によって品種を選ぶのも、良い野菜を育てるための第一歩です。
野菜の品種選びをするときは、頭の隅に留めておくと役に立つことがあるかもしれません。

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ABOUTこの記事をかいた人

86年生まれの酒が飲めない九州男児。 家庭菜園が好きすぎて自分の畑を手に入れるためだけに農家になった。 5年前に新規就農し、現在は野菜のネット販売でお金を稼ぎながら家庭菜園を楽しむ「JAに野菜を売らない農家」。 現在家庭菜園16年目。